介護福祉士の資格またはホームヘルパー2級資格以上の取得を機に、介護保険事業を始めようと考えている方もいると思います。
 ただ施設を建てたり借りたりするだけの資金力がない場合は、どうしましょう。
 起業時の融資制度を使うのもありですが、あまり自己資金もなく、いきなり従業員を何人も雇うのに抵抗があるなら、元手のかからない訪問介護なんかはいいかもしれませんね。ここでは、自宅を事務所として自分のほかに従業員2名程度を雇う前提で書きます。
 あとは、介護保険法上の指定事業者となるために、何らかの法人を設立することになります。

特定非営利活動法人(NPO法人)

 ・・・設立コスト◎ 設立の手間× 存続中コスト◎ 存続中の手間×
 設立に要する費用が低く(自ら申請するならゼロ円)、法人税、法人住民税、法人事業税といった税金が原則非課税なので、コストは抑えることができます。
 ただし、設立に際して社員(従業員ではない)10名以上が必要なので発言権が拡散してしまいます。設立条件が厳しく時間もかなりかかります。事業報告書等を毎年提出しなければなりません。
 優秀な事務方を雇えるならアリですかね。

一般社団法人

 ・・・設立コスト△ 設立の手間〇 存続中コスト△ 存続中の手間△
 創業者の地位が必ずしも盤石ではなく(社員2名以上、任期2年以内)。一定期間毎に役員変更や決算公告等のランニングコストがかかります。

一般財団法人

 ・・・設立コスト× 設立の手間△ 存続中コスト△ 存続中の手間△
 設立者は1名で足ります。拠出財産は少なくとも300万円分が必要。評議員3名以上、理事3名以上、監事1名以上の計7名以上の役員が必要です。

株式会社

 ・・・設立コスト△ 設立の手間〇 存続中コスト△ 存続中の手間△
 発起人及び代表取締役をご自身とすれば、1人で設立できます。資本金は1円からでも設立できますが、取引先の印象を考えると100万円程度出資するのが望ましいと思います。初期費用とランニングコストは比較的高め。

合同会社

 ・・・設立コスト〇 設立の手間◎ 存続中コスト〇 存続中の手間◎
 代表社員をご自身とすれば、1人で設立できます。資本金については株式会社と同様の考え方。初期費用とランニングコストは株式会社よりも安いです。1人会社を設立するなら間違いなくお薦めします。デメリットは「合同会社」という冠の知名度の低さですが、浸透も進んでもはや気にする人はいないでしょう。

 選択肢は広い

 まあ、上の他にも無数の選択基準があるかと思いますが(「イメージ戦略上、NPO法人か株式会社でなければ」など)、参考の一つにしてみて下さい。