今年の6月27日に日司連vs.日弁連の解釈争いに関する最高裁判決があった直後、受益額説を採っていた司法書士事務所に対してこれから不当利得返還請求が殺到するのでは、との話を何度か耳にしました。
実際、7月頃はそうした趣旨の弁護士事務所のウェブページを見た記憶があります。が、今検索しても全く探せません。
キーワードがおかしいんですかね?「任意整理」「非弁」「司法書士報酬」「返還」なんかでググってますが、見つけられません。どこに行ったの…?
とにかく、上記の判決によって司法書士が不法行為による損害賠償請求又は不当利得返還請求を受ける可能性が出たのです。
より正確にいうと、「これまで債務整理の対象となる債権にかかる裁判外の和解(任意整理)について受益額説に基づいて代理権を行使していた認定司法書士」が請求の対象となり得るということ。

因果応報?

思えば、それまで危機感なく営業していた貸金業者が多数の不当利得返還請求(過払金返還請求)を受けるに至り、業界全体が大量の廃業を伴う縮小へと追い遣られた過払金バブルも、幾つかの最高裁判決によるものでした。
司法書士に散々むしり取られた貸金業関係者はもとより、司法書士事務所により執拗に流される過払金関係のCMに辟易している人にとっては、まさに因果応報のように映るのかも…?
なんて思っていたりしましたが、慌てない慌てない。
上記の判決で可能となったのは裁判外の和解代理についての不法行為による損害賠償請求または不当利得返還請求であって、過払金返還についてのものではありません。
大した額じゃないですよね。1社あたり3万円か高くても4万円と、訴え提起に見合う額じゃない。
不法行為による損害賠償請求なら、司法書士が請求額満額をおとなしく支払うとは思えない(過失を認めないでしょう)し、不当利得返還請求の場合も、悪意の受益者(民法704条)は考えにくいと思いますので(乙第1号証:注釈司法書士法)膨らますのも限界があります。
1社からの借り入れ残高が140万円超の債務を数件抱えた債務者でなければ、あえて請求しないのでは?
まして弁護士事務所のメシの種になるほどの市場性はないと思いますけどね。