法律家は感覚が麻痺しがちですが、普通の方が「自己破産」を選択するのには、相当の心理的抵抗がありますよね。

まして家族に迷惑がかかりはしないかと不安になるのも当然です。

配偶者に迷惑がかかる?

目立った資産もなく支払不能になってしまった場合は、基本的に配偶者に影響が及ぶことはありません。

ただし3つほど注意すべき点があります。

配偶者が自己の借金の連帯保証人となっている

この場合は、配偶者についての自己破産手続きも並行して進めるべきです。

特定の職業に就いている

士業、証券会社外務員、古物商、警備員などで生計を立てている方は、一時的に営業を禁止されてしまいます。会社勤務の方は退職となる可能性があります。

上の職業に就いている場合は、生活面で配偶者への影響は避けられないでしょう。他の債務整理手続を選択すべきかもしれません。

官報に掲載される

官報に住所氏名が掲載されますが、どこまで公になるかが問題ですね。

インターネット版官報では直近30日分の官報が閲覧できますが、氏名等の検索に対応していない(pdf)ので、一般の人の目には留まらないでしょう。

官報情報検索サービスは期間の制限なく記事を検索できますが、月額2,160円の料金がかかります。こちらは一般の人の利用についての敷居が高いです。

ただし官報は公開情報であることに間違いはないので、本気で探そうとすれば辿り着けます。

個人的には、google検索で破産者情報が探せるようにならない限り、そこまで心配はいらないのではないかと。

よくある誤解

「自己破産が会社にばれたらクビになる」→自己破産のみを理由とする懲戒解雇はできません。

「戸籍や住民票へ記載される」→いずれにも記載されません。市町村長発行の身分証明書には記載されますが、提出を求められるのは上記の”特定の職業”に就く場合くらいでしょう。

「貸金業者からのいやがらせが心配」→登録業者からのいやがらせはあり得ません。ヤミ金業者が混じっている場合は、念のため司法書士又は弁護士へご相談を。

むしろ幸せになる

自己破産は、現在ある資産と負債をリセットする手続です。

積年の不安や苦しみから解放され、再起を図ることができるのなら、むしろパートナーも喜んでくれるのではないでしょうか。

向こう数年間はお金を借りづらくなるでしょうが、しばらく借金から解放されると思えばそんなに悪いことではないはずです。