あなたに知的障害や精神上の障害のある子がいる場合、その子に対してどのような方法で財産を残すべきか、悩むときがあるかもしれません。
あなたが元気なうちは何とかなります。
主な財産を自分名義とし、財産をあなたが管理してあげられるからです。
でもあなたに何かあったとき、残された子は、1人で相続財産を管理できるでしょうか。
遺言書を書かなかった場合はどうなるか
面倒くさいことになります。
あなたが遺言を何も遺さずに他界してしまった場合、あなたの管理していた財産は、一定の割合で子に相続されます。
もし日常生活に十分なほどの預貯金を遺したとしても、それを障害のある子が自己管理できるかどうかには不安が残るのではないでしょうか。
とても財産を管理することができない状態なら、裁判所に後見人を付けてもらうことになるでしょう。
また既にあなたがその子の後見人であるとすれば、もう一度後見人を選任し直す必要があります(成年者の場合)。
でもそのような財産管理の問題は、何か問題が起こるまでは放置しがちです。
一般に親族などが後見の申し立てをする場合、後見開始の審判を受ける頃には、詐欺などの被害に遭って財産の大半を失っている事例が少なくないようです。
財産さえのこせば何とかなる、ともいえないのが現状です。
遺言による信託
ぜひ遺言書を書いてください。
配偶者、信頼できる他の子又は他の親族がいるなら、遺言でそれらの人に財産管理を託す(委託する)方法があります。
遺言の内容として、信託目的、信託財産、当事者等を定めた上で、例えば以下のように定めます。
「毎月末日に金◯万円を限度として、受託者(信頼できる子など)が相当と認める額の生活費を受益者に支払う」
こうすることで、財産を承継する子が直接財産を管理することなく、毎月利益を受取ることができるようになります。
受益者本人がお金を使い過ぎることもなく、誰かに財産を奪われる可能性も抑えることができるでしょう。
ただし、遺言による信託は委託者(遺言者)が他界した後に効力が発生するものであり、受託者として指定された方が受託するか否かは自由であるため、生前の打合せが重要となってきます。
また、 指定者が受託を引き受けない、認知症等で引き受けることができない、先に死亡した等の場合に備えて、第2受託者まで指定しておくことも重要です。第2受託者についてもあらかじめ話を通しておきましょう。
佐藤