株式会社の役員(取締役や監査役など)にはそれぞれ任期があります。

任期が満了すると、株主総会で再任されない限り、役員はいったん退任することになります。

このとき、再任するか退任して新たに別の役員を選任するかにかかわらず、登記を申請する必要があります。

特に再任(重任)の場合に忘れがちですが、役員に事実上変更がないからといって何もしなくてよいわけではありません。

最近お受けしたご相談で、取締役の任期が2年、監査役の任期が4年の札幌市内の株式会社がありました。

そしてその会社の登記事項証明書を見ると、最後に役員の登記をしたのが平成23年。

その年に取締役3名と監査役1名の重任の登記が入っていました。以後、役員に変動はないそうです。

その会社は公開会社(譲渡制限の定めがない株式を発行している会社)でしたので、『実はあらかじめ任期を伸長していた(会社法第332条第2項)』なんていう言い訳もできません。

この場合は平成25年、平成27年、平成29年、令和1年とそれぞれ行っていたはずの株主総会と取締役会の議事録を改めて提出してもらい、一括して登記を申請することになります。

一括して申請できるぶん登録免許税の負担は少なくなりますが、それよりも怖い登記懈怠の過料から逃れることはできなそうです…そこは覚悟していただくほかないでしょう。

古くからある会社のようでしたが、印象ではなぜ公開会社でなければならないのかの部分がはっきりせず、役員の任期に関するデメリットだけが残っている状態でした。なにせ株主が一人だけの会社でしたので。

会社のあり方は定款で定められています。

定款の定めは定期的に検討し、時代や会社の実情に合うよう随時定款変更を行うのが良いと思います。