「行政手続きをアプリで一括 転居や介護、企業が代行」

なぜアプリである必要があるのか;転居届,要介護認定,死亡届など非日常的行為のためになぜアプリをインストールしなければならないのか,は置いておきます。
5段落目に「死亡届を提出した後,…不動産の名義変更など相続関連手続きの一括化も視野に入れる。」とあります。
これだけでは何のことかわからず,司法書士としては「アプリで相続登記とかありえない」という話になりそうです。
しかし,もしかして法定相続分の登記なら可能かもしれません。

「土地相続 登記を義務化  法務省検討 所有者不明防ぐ 空き家問題にも対処」

相続登記の義務化を検討するほど困っているのは,所有者不明土地が国や自治体による用地買収の妨げになること,空き家増加による治安悪化,固定資産税の徴収等についてです。
義務化というからには罰則も設ける予定なのです。現行の手続と税法のまま義務化するなら,かなりの反発がありそうです。やるなら法定相続分の登記の登録免許税を非課税化し,手続きも法定相続分の登記については(転居届並みに)簡略化すべきでしょう。

法定相続分の登記の自動化

そこで前出のようなアプリ等のウェブサービスにより,死亡届の提出だけで不動産の名義を自動的に法定相続人名義に変更できれば一石二鳥ですね!
義務化ではなく自動化。
自治体の戸籍データベースと法務局と公証役場が連携できれば可能なのでは?
プログラムは民法第5編第2章である。
「胎児や相続欠格者はどうすんだ,自筆証書遺言はどうすんだ」とか細かい話はきっと法務省が考えてくれる(他力)。
いくら法定相続人の数が多くなろうが,相続人の生死分明と現住所を把握できているかぎり「所有者不明」とはいえないでしょう。
ただこれで所有者不明土地問題が解決する!とも言えない。ごめんなさい。
相続登記の義務化よりも重要なのは,所有権放棄のルール作りの方かもしれません。